結論、データドリブンな意思決定を下せる友達の多い総合格闘家になりたいのかもしれない

この記事は「データ分析人材のキャリアアドベントカレンダー」の23日目の記事です。


はじめに

内容だけさっと目を通したい方は 結論 をお読みください。

この記事は、「主にデータ系職種に携わる場合のキャリア構築アイデア」と「私のキャリアプラン」を紹介することを主題としています。自己紹介をつらつら書くつもりはないのですが、最近以下の記事を書きました。ありがたいことに色々と反応もいただきまして、2020年の良き思い出となりました。

qiita.com


本記事では、はじめに「データサイエンティストとしてのキャリアをスタートさせた契機」を述べ、次に「データ系職種としてのキャリアプランニングのアイデア」を提供し、最後に「私のキャリアプラン(2020/12版)」をご紹介します。



結論

自身の経験を正しく評価し、なりたい人材に求められる知識・経験・スキルを正しく調査し、それらの差をとることで、自分がやるべきことを明らかにしましょう。そのためにDSのスキルやキャリアについての解説記事が役に立つと思います。


私のビジョンというかやりたいことは、「社会に潜む構造的な課題を技術の力で解決し、関係者が無為な作業から解放され、よりクリエイティブでワクワクすることに集中できる社会」の実現です。(長い)私は、「データドリブンな意思決定を下せる、頼れる友達の多い、総合格闘家になることで自身のビジョンを実現しようと思っています。


そのために必要なことは、大きく2つあると考えています。1つ目は、(運に左右されますが)実務を通して走りながら学び、専門知識を手に入れつつ、業務外での勉学を通して、浅い知識を手に入れつつ、知見の深さと広さを向上させる。2つ目は、自身の能力を生かして人のためになることを実行していく、自分のビジョンを語る、他者を巻き込んだプロジェクトを推進していく、といった行動です。あとは運に任せます。


データ系職種キャリアスタートの契機

結論から述べますと、私のデータ系職種としてのキャリアがスタートした一番の契機は、「データラーニングギルド」というコミュニティに入ったことだと思います。

data-learning.com

このコミュニティにおいて、データ分析に関わる人から「おすすめ学習リソース」「現場で得た知見」などを学びとりながら、一緒に勉強ができたことがキャリアをスタートさせる上で、最も重要な要素であったと思います。こういう風に書くと、宣伝感が強いのですが(しかも某○○ゼミっぽさを感じる)、実際そうなので仕方ないです笑

まずは、前職の内容を説明したあと、データ系職種としてのキャリアをスタートさせた経緯を説明することにします。


前職は、3Dデジタル地図の製造研究やデジタル地図製造アプリケーションの開発に携わっていました。約7年ぐらいです。 扱うデータは主に、地図計測用車両の計測データです。内容は以下のような感じです。

  • GPS受信機のログ(1Hzぐらい)
  • 産業用カメラによる同画像(メガピクセルクラス)
  • 3Dレーザースキャナ(秒間数百万点取得)とかです。

これらをつかって、センサー同士のログの時刻同期処理や各センサーの理論的な誤差モデルを求めたり実測誤差を計測するための実験計画・推進を行っていました。

技術スタックは、以下のような感じです。

仕事の中で、実験データを分析し、考察した結果をお客様にレポートしていました。そんな中で、技術情報を漁っていた時に見つけたのが「データサイエンティスト」という職種です。そこから、なんやかんや調べていて、データラーニングギルドというコミュニティを見つけて、入ることにしました。2019年の12月のことです。このとき既に2020年夏までに転職することを決意していました。


このコミュニティでは、データ分析人材(になりたい人も含む)が集まっていて、日々分析業務で詰まったことの相談やおすすめ学習リソースの共有がなされたり、勉強会や懇親会が催されたりしていました。前職では、私の周りに「データ分析」に詳しい人は誰もいなかった為、私にとってこのコミュニティはとても貴重な情報源であり、勉強仲間を見つけられる憩いの場でもありました。


そんな中、コミュニティ内でSlackの会話データをつかった分析プロジェクトを立ち上げる話が持ち上がり、(やったこともないのに)私は手を挙げました。今考えると、この瞬間に何かが大きく動いたような気がします。


そこから、Slackの会話データをラングリングするために自然言語処理(の主に前処理技術)を学び、BigQuery上に蓄積されたデータを用いてSlackをインターフェイスとしたレコメンドシステムを作るためにGCPを学び、といった感じで課題解決のために走りながら学んできました。


そんな感じで、コミュニティ内で割と活発に活動しつつ、転職についても相談していた時にコミュニティの代表である村上さん (@GreenGreenMidor) にお声掛けいただいた、というのが経緯になります。


データ系職種としてのキャリアプランニングのアイデア

私の観測範囲内におけるデータ分析に興味を持つ方のバックグラウンド

データラーニングギルド(以下、DLG)に所属してから、多くの方と「どんな経緯でデータ分析に興味を持ったか?データ分析を仕事にしたいと思ったか?」という話をさせていただきました。 その流れで、元々従事されていた仕事というか、その方の(技術的な)バックグラウンドをお聞きする機会がありまして、おおよそ以下のようにまとめられる気がしています。

  • ■ エンジニアリング領域
    • Web系エンジニア
    • ハードウェアエンジニア、IoTエンジニア
    • 製造業の生産技術/生産管理
  • ■ ビジネス領域
  • ■ 先端研究領域・アカデミア領域

広義のデータサイエンティストは総合格闘家

広義のデータサイエンティスト(参考)は、いわば総合格闘家と言えるでしょう。幅広く、深い知見が求められます。

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データサイエンティストに求められる3つのスキル

先程、挙げたようにデータサイエンティストになりたいと考えられている方は、様々なバックグラウンドを持っています。データサイエンティストに求められるスキルが広い範囲にわたるのならば、自分が得意とする(少なくとも幾ばくかの経験値を持つ)領域がどこかにあるはずです。各々の得意分野を理解して、どこから攻めていけばいいかを考えると良いと思います。格闘技に例えれば、ボクシング出身の人は、キック力、絞め技や寝技の能力を高めて総合力を上げていく、みたいなイメージです。言うは易く行うは難し、ですが。そこを見極めれば、データサイエンティストとしてのキャリアプランニングのスタート地点に立ったといえるのではないでしょうか。


私のキャリアプラン

ここまでの文章で「総合力を上げる」ことばかりを述べている気がしますが、実は私は総合力を上げる戦法はとらないことにしています笑

もう少し正確に言うと、「自分一人の力だけで全ての能力をシニアレベルで保持することは諦めている」でしょうか。

私はどんな人材になりたいか

結論から言えば、「いくつかの専門領域を持ちつつ、他分野の専門家と協調できるような広い技術的知識とコミュニケーション力を持つ者」であり「他分野の専門家との人脈を持つ者」が目指す姿です。(簡単に書いたけど、めっちゃ難しい笑)

2つの観点から、自身のなりたい人物像を考えてみました。


1つ目は技術的興味です。

私が最も興味があるのは、データエンジニアリングの領域です。エンジニア出身というのもあるかもしれませんが、アイデア段階のソリューションを「実現できる力」に魅力を感じます。この領域はシンプルに「面白い!」と思えるので、学習効率やモチベーション維持率が高いと考えており、自身の専門領域の一つにしたいと思いました。


2つ目は人生のビジョンです。

私の人生のビジョンは、「社会に潜む構造的な課題を技術の力で解決し、関係者が無為な作業から解放され、よりクリエイティブでワクワクすることに集中できる社会」を実現することです。これを実現するためには、まだまだデータ分析の対象に含まれていない(私が知らないだけかもですが)領域に手を出していかなければなりません。例えば、介護問題、生活習慣病、環境汚染問題、心の病などです。


これらの課題に相対した場合、データサイエンス力やデータエンジニアリング力だけでなく、ビジネス力もとても重要になってくると思います。説得力のある施策効果の説明、古い枠組みを取り払って、新しい枠組みに移行するプロセス設計など、必要なスキルは様々と思います。もちろん、課題にはチームで取り組むことが多いと思いますので、メンバーと協調するスキルやマネジメントスキルも必要になるでしょう。


このビジョンを叶えるためには、現実のビジネス課題を解決する経験を得ること、他の専門家と(主に分析プロジェクトにおいて)協調できるような人物になることが必要と思いました。また、自分が生涯をかけて解決したいと感じる社会の課題に出会ったとき、協力してくれる仲間を集められるような人脈も大切と思います。


なりたい人材になるために何をすべきか?

さて、前項で述べたような人材になるためには何をすればいいのでしょうか。

大きく分けて2本の柱で進めていく予定です。

  1. 専門性を高める
  2. 人脈を広げる

ざっくりいうと、そうなのですが、それぞれ具体的なアクションを以下に示します。


1. 専門性を高める

専門性の向上方法は、「業務で携わる」「業務外で学ぶ(独学・勉強会など)」という大きく2つあると思っています。


まず、「業務で携わる」について。現在、私は受託分析を行っています。したがって、必ずしも学習したい領域を学べるとは限りません。運に左右されるところもありますが、業務で携わる場合は自学するよりも深い知見を蓄えることができるというメリットがあると思います。実務を通して走りながら学ぶというスタイルは強力です。


次に、「業務外で学ぶ」について。冒頭で述べたように私はDLGというコミュニティに所属しておりまして、仲間内で勉強会や輪読会を開催して、勉強しております。また、座学だけでなく、業務の状況に近い分析プロジェクトを実施し、生のデータを触りながら、システム構築もしながら学んでいます。この場合は、「業務で携わる」とは異なり、自身の学びたい領域を選択できるというメリットが有る一方で、実務よりは得られる知見も浅いものになることは否定できません。


(あくまでも私の想像ですが)ここまでの内容からして、自身の専門領域は業務として携わり、深い知見を得た領域だけになるでしょう。つまり、自身のビジョンを成し遂げるには、一人じゃ無理というのは確かかと思います。前項で示した私のビジョンを成し遂げるには、様々な分野の専門的スキルが必要かなと漠然と考えているからです。なので、トランザクティブメモリーを大切にしたほうが良くて、他の人とコミュニケーションがとれるような他分野の基礎知識と、他分野専門の人を手助けできるような自身の専門知識を携えて、次項の「人脈を広げる」を頑張らなければならないと思うに至りました。


2. 人脈を広げる

最近「GIVE & TAKE」という書籍を読みまして、人脈が広い人の特徴について学びました。その学びと私のオリジナル考察結果に基づいて、人脈を広げる方法を考えてみました。

やることは以下の3つです。

  • 自身の専門性を生かして、誰かを助ける(できるだけWINWINになるような課題解決を)
  • 他者を巻き込んだプロジェクト推進(仕事でなくても勉強会とかでも可)
  • ビジョンを掲げ、発信し、ビジョンの実現に懸命に取り組む
  • あとは、運に任せる

それぞれの説明はしないですが、「ビジョンを掲げ…」については、私のオリジナルアイデアなので、補足説明をしておきます。ビジョンを掲げ、発信することで、「私がどんな人物か、どうなりたいか」ということを周りの人に伝えることができます。もしかしたら、共感してくれる人がでてくるかもしれません。それを期待しています。また、「ビジョンの実現に懸命に取り組む」ことで、本気度が伝わり、共感してくれる人に出会ったときに「一緒にやりたい・手助けしたい」と思ってもらえる確率が上がります。(と勝手におもってます)


あとは、運任せです。ぶっちゃけ人脈とかはコントローラブルではないと思ってますし、今考えてもしかたないこと。先のことだし、運によるもの。であれば、今できることに集中しましょう。ついでに、幸運が目の前を通り過ぎるとき見つけやすいようにアンテナを張っておくぐらいの仕掛けはしておいていいでしょう。(これがビジョンの発信)


最後に、私の好きなアリストテレスの言葉を記します。

快楽は本来、『活動(エネルゲイア)』にほかならず、それ自身目的(テロス)なのである(ニコマコス倫理学より)

ざっくり意訳すると、「将来の目的や計画をいったん忘れ、今この瞬間のやりたいこと、やるべきことに熱中せよ」ということです。